椎間板変性症は肩こり、腰痛、坐骨神経痛の原因となり、生活の質、健康寿命の維持における障壁となっている。現在の腰痛の主な治療方法は対症療法に限り、再生医療等製品による治療は罹患率の減少、そして医療費の削減ができるとされる。自家同種髄核細胞、骨髄由来間葉系幹細胞の移植は既に国内外で臨床研究/治験で安全性、有効性が検証中であるが、未だ承認薬はない。我々は産業化を実現しうる同種髄核再生医療等製品の開発を推進している。
がんの発症や再発の根本的な原因となるがん幹細胞を根絶する治療法の確立は、国内外で待望されている最重要課題である。幹細胞は骨髄のニッチと呼ばれる特殊な環境を構成する細胞との緊密な相互作用により保護されており、このことががんの完治を困難にしている最大の要因である。我々はこのニッチを標的とした分子標的薬の開発により、白血病幹細胞を根絶する治療法の開発を目指している。
多発性骨髄腫に対して近年多くのモノクローナル抗体や小分子化合物が開発されてきたが、骨髄腫細胞は様々な薬剤耐性化機序を獲得することによりクローンを進化させていく。我々は抗CD38モノクローナル抗体、BCMA-CAR-T細胞療法に対する耐性化機序を特に選択的スプライシングに注目して解明し、耐性化クローン特異的な治療開発を目指す。